【中堅・中小企業向け】社内報のインタビューで、初心者が「失敗しない」ためにできること
「良いインタビュー/魅力的な記事」には、たくさんの工夫が詰まっています。その中から今回は社内報の人物インタビューに絞って、「失敗しない」ための工夫をお伝えします。
「インタビューなんてしたことないのに、社内報担当になっちゃって…」というあなた、まずはここから押さえていきましょう。
「失敗インタビュー」って何だろう?
私は取材ライターです。これまで1000人以上の方に取材をしてきていますが、やはり初めのうちは「インタビューするのが怖い」という気持ちがありました。
一期一会の一回きりの機会、時間も決まっている、なのに相手がどんな人か良く知らない中で話をしないといけない、失敗できない。
これってなかなかのシチュエーションですよね。
なので同じように不安に思っている方に、事前にこのコラムを読んでいただき、少しでも不安を減らして当日を迎えてもらえたら…と思いながら書いています。
まずあなたが思う「失敗インタビュー」って、どんな感じですか。
私が思うに、記事になって読まれたときに「何が書いてあるのかよく分からない」と感じさせてしまうインタビューが、失敗インタビューの最たるものです。
逆に、成功インタビューは
「この人いいね」「今度会ってみたい」「後でこの記事のこと聞いてみよう」というような読後感。
記事をきっかけに取材対象者への共感と関心が高まり、さらには会社への愛着や仕事へのモチベーションが高まれば成功です。
同じ部署の上司なら、尊敬の念が生まれたり、違う部署の同僚だったら想いを共有できたりなども◎。
今回はそこまでではなく、「失敗しない」を第一目標に書いていきます。読んだ人の感想でいうなら「ふーん」「なるほどね」くらい。
目標低いっ!と思いますか?
いや、インタビューって本当に細やかな配慮や工夫がいっぱい入っているものなので、はじめから10を目指すと転びます。
まずは3を目指し、できるようになったらまた少しレベルアップさせるというのが良いと思いますよ。
初心者にありがちなインタビュー風景
ではまず、初心者にありがちなインタビュー風景を3つ、挙げてみましょう。あなたももしかして既に想像して、嫌な汗を書いているかもしれませんね。
相手の話に流されて、聞きたいことが聞けずに終了
話好きな人だと、よどみなく話をしてくれるのはありがたいですが、話が意図せぬ方向に転がっていってしまい、それを聞いているうちに時間が終了。聞きたいことが全然聞けなかった…という悔いだけが残ります。
質問への回答が短くて、沈黙ばかりが流れる
逆に、質問に対して「はい」「そうですね」とか単語のみで回答する人が相手だと、話がなかなか広がらず、重い沈黙の空気に飲み込まれそうになります。
質問が曖昧で、相手が答えに迷ってしまう
相手がどう答えたらよいか困っている、という場面もよくあります。
質問として何が足りないのか気づけると良いのですが、初心者ではなかなか難しいです。抽象的、曖昧、ざっくりとした質問だと、この現象が起こりがちです。
初心者は、準備が8割
では、失敗インタビューにならないためには、どうしたら良いでしょうか。
まずはできるだけ準備を整えることです。
インタビュー当日は一発勝負なのでその場で機転を利かせるしかないですが、準備はわりと自分のペースでできるのが良いところ。少なくとも以下の3点はおさえておきましょう。
事前に準備すること
- 取材相手と、社内報やインタビュー記事の目的を共有しておく
- 取材相手に、あらかじめ質問内容を渡しておく
- 取材相手のことを下調べしておく(知っている人に訊く、ネットで検索するなど)
先に、初心者にありがちなインタビュー風景を3つ紹介しましたが、例えば、社内報やインタビュー記事の目的を共有しておくことで、目的からずれた話を延々とされることをある程度防げます。
質問内容が先に分かっていれば、回答を膨らませて考えてきてくれる人もいるでしょうし、曖昧で分からない質問については、事前に意図を訊いてくれることもあるかも。
下調べをしておけば、相手にとって失礼な質問をするという不手際も減り、相手も話しやすくなるでしょう。
取材相手も、せっかくならより良い機会にしたいという気持ちをもってくれていると思うと、お互いに不安を減らし、充実した時間にするために事前準備は大切ですよね。
インタビュー記事をQ&Aでつくる
インタビュー取材から記事作成までをグッと楽にしてくれるのが、これ。インタビュー記事をQ&Aでつくることです。
より読みやすく共感を得る記事を作って、周りに喜んでもらおうという色気を出さず、あくまでも「失敗しない」を目指すなら、Q&A型がおすすめです。
Q(質問)の部分は、事前に相手に渡しておきます。当日のインタビューでは、渡した質問集の通りに訊いていきます。
もらった回答を、文章量を調整しながらQ&Aの形で書けば、記事の完成です。
質問項目は、インタビュー記事の目的、文章量、許された時間によっても変わってきますが、社内報であり、社内の部署間理解やコミュニケーション促進が目的なら、こんな感じでしょうか。
質問例
- あなたの業務を簡単に教えてください
- この会社を選んだ理由は?(特に新人インタビューの時など)
- 仕事のどんなところにやりがいを感じていますか
- 今まで仕事上で一番嬉しかったことは何ですか
- 逆に難しさを感じたことは何ですか
- この先、挑戦してみたいことなどはありますか
- お休みの日はどんなふうに過ごしていますか
王道の質問であり、誰に聞いても不自然さが無く、多くの人への質問として統一もできます。
社内報のインタビューを担当になって間もない間は、こうした共通のQ&Aで訊いていき、読者にもそういうコーナーなんだという目で読んでもらうのが無難です。
インタビューの面白さは、この先にこそあるんですけどね。どのポイントで深堀りするかとか、相手の良さをうまく引き出すには、どうしようかとか。
インタビューすることに慣れてくると、きっといろいろ工夫してみたくなると思います。今回はあくまで「失敗しない」ラインを目指すときの選択です。
当日の雰囲気は、緊張感3割、安心感7割で
人と人が顔を合わせて話をするわけで、当日の雰囲気づくりはとても大切。
私は、緊張感3割、安心感7割くらいの空気感が一番良いかなと思います。
緊張感が10割では、お互いが固まってかしこまった話しかできません。メールでQ&Aを送って回答してもらったのと変わらない出来栄えになり、何のためにインタビュー形式にしたのか…となってしまいます。
逆に安心感10割だったらどうでしょう。
安心して話ができることは、とても良いことのように思えますよね。でも、社内報のインタビュー記事ですから、ランチタイムの雑談と同じではいけません。やはりそこには、社内報を出す目的、インタビュー記事を載せる目的が、企業としてあるはず。
3割程度の良い緊張感をもちながら、7割の安心感に満たされて話ができるくらいが一番良いのではないでしょうか。
そのための場づくりとしては、まず初めに笑顔であいさつ。「今日はありがとうございます」とお礼をひと言。
社内で普段会わないような関係性なら、名刺交換から始めましょう。すぐにはインタビューに入らないで、今日の天気とか服装とか、自分の業務の紹介とか、声に出して会話をするということを少しやっておくと、お互い安心感を得られやすいですよね。
そして社内報インタビューの目的を共有して、それに沿ってスタートといったところでしょうか。
取材当日の7つ道具
当日、用意するものもざっと書いておきましょう。
取材当日に必要なもの
- メモ用紙&ペン(orパソコン)
- 音声を録音する機器
- カメラ
- 名刺
- 取材対象者の資料
- これまでの社内報
- 時計
メモ用紙&ペン(orパソコン)
質問項目を書き込んだものをバインダーに挟んで使います。
細かいことですが、質問項目1つずつのすぐ下に回答を書き込めるようスペースを開けておくと、後で記事を書く時にも見直しやすいですよ。
もちろん、メモをとるためにはペンも必要。
落ち着いた場所で書ける時は良いのですが、現場で立ってお話というようなときは、ノック式のペンにしましょう。製造現場で、キャップがどこかへ行ってしまった!などとなると大変です。
パソコンに打つ方が速いしストレスが無いという方は、環境が整っていればパソコンでもOK。その場合は、バッテリーやマウスなど必要な付属品も忘れずに。
音声を録音する機器
メモの取り方も、コツがつかめるまではあたふたしてしまうかも。
そんな不安がある時は、後から聞き返せるように、音声を録音しておける機器を用意しましょう。私はiPhoneのボイスメモを使っています。
カメラ
写真撮影をする場合は、カメラも必要です。
こちらもさほど大きく載る写真でなければ、スマートフォンのカメラで十分です。
名刺
良く知っている間柄でのインタビューの時は不要ですが、社内でもあまり会わない方とは、名刺交換をして自己紹介から始めるのが礼儀というもの。
また、よく知っている人でも部署や名前の漢字を間違えないためにも、念のため名刺をいただいておくのをお勧めします。
取材対象者の資料
取材させていただく方について事前に調べた情報などがあれば、忘れず持っていきましょう。
人によっては、事前に送った質問事項に回答を書き込んで先に送り返してくれることも。もしもらっていたら、こちらも忘れずに。
これまでの社内報
事前に送っておく&当日も紙の現物を見せるのがベスト。
このくらいの文字量で、写真はこんな感じに載るのね、他の人たちはどんなお話を?など、現物には情報がたくさん詰まっていますし、話のきっかけにもなります。
時計
取材する場に、必ず時計があるとは限りません。スマホで時計を見られれば良いとも思いますが、そうやって時計を見ると、相手に終了時間への気遣いをさせてしまいます(あまり話が長引いたらわざと見るという手も)。
ちらっと見られる腕時計をお勧めします。
記事制作後にやること
記事が作れたら、取材させていただいた人にもチェックしてもらいましょう。発行した後に「こんなことは言っていない」と、関係がギクシャクするのは嫌ですもんね。
ただ、この時にもひとつポイントがあります。
「確認をいただき、間違いがないかチェックをお願いします」というスタンスで見せること。
あくまで社内報には目的があり、インタビュー記事はそれに沿って作っているものです。記事内容についての主導権はこちらにあり、間違いがないかだけを見てほしいという姿勢を少し強めに出しましょう。
意外と、好意的にインタビューを受けてくれた人ほど、またインタビュー慣れしていない人ほど、一言一句を自分好みに変えたり、もっとこうしてほしいという注文をつけてきたりするものです。
それは悪意ではなく、それが可能だと思わせてしまう方に問題があります。
「ご覧いただき、何かありましたらご指導お願いします」
などと曖昧な表現で送ると、大量の修正依頼が返ってきて痛い目をみることになりかねませんから、気を付けて。
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さて、ここまで制作の流れに合わせながら書いてきましたが、「失敗しない」社内報インタビューのイメージが、少しはできたでしょうか。
例えば月1本の社内報なら、半年から1年くらいは、このQ&A形式で作っていくのが良いかもしれませんね。
経験を積むと、そこからはみ出た話こそ面白い!もっと文章量が増やせるようスペースが欲しい!など、思えるようになってくるはずです。しばらくは「失敗しない」を意識して、地道に頑張ってみてくださいね。
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今回のPOINT
- 事前準備をしっかりする
- インタビュー記事はQ&A形式でつくる
- 「失敗しない」をクリアしてから、さらなる工夫を
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