【中小企業向け】社長、従業員にあなたの意図は伝わっていますか?~「言語化」でもっと伝わり合う組織に~

未来を目指す

実は普段、中小企業の社長さんにインタビュー取材をしていると

「この方がやろうとしていることが、スタッフの皆さんにちゃんと伝わっているだろうか

と心配になることがあります。
社長の「伝わる言葉」って、社外に向けてのPRだけでなく、本当は社内で一緒に働く人に向けて、まず磨かないといけないものなのかもしれません。

今回は、社長さんがどんなことに気を付ければ、社内できちんと伝わりあうのかを考えてみました。受け取る従業員さんの側でも改善できることがあるので、おまけとしてそちらも少し書いています。
社長、従業員の双方で読んで、これをもとに意見交換などしていただけたらかなり前進するのでは?

では、どうぞ。

顕微鏡と虫めがねでは見える世界が違う

顕微鏡

まず、社長の皆さんは「自分が顕微鏡で事業を見ているとしたら、従業員も同じ顕微鏡で見ているのか」と考えてみてください。

同じ顕微鏡で見ていると思える従業員さんが大半なら、かなり優秀な組織です。大半の従業員さんがもっているのは、顕微鏡でなく虫めがねだと、肝に銘じておいた方が良いと、私は思います。

経営者であるあなたと、サラリーマンである従業員さんとでは、置かれている立場が違います。

サラリーをもらって、自分を提供して働き、家へ帰ればプライベートがある。そんな中で、社長さんと同じように事業への想いをもって、四六時中仕事のことを考えてほしいというのは難しい話です。

従って、事業に対する理解や想いは、社長のようには持てなくて当たり前。
顕微鏡と虫めがねでは、解像度が全然違います。それをまずちゃんと認識しておくことが必要です。

勢いのある企業ほど宇宙人社長だったりする

伝わらない

従って、社長の頭の中にある意図や戦略を従業員に伝えるには、ある程度言葉を尽くさねばなりません。

しかし、頭の中身をうまく言語化できない方は意外と多いです。特に、勢いがある企業の社長さん(特に創業者さん)には宇宙人が多い気がすると、私は密かに思っています。
宇宙人=同じ言語で話していないような気になるくらい、話が分からないってことです。

主にインタビュー取材の時に感じる、宇宙人社長の特徴を挙げてみましょう。

宇宙人社長の特徴

  • インタビューの質問に対して、答えが微妙にズレている。(そこから面白い話が広がったりするので、取材としてはNGではないが、従業員へは話がズレていたら伝わりづらい)
  • え?そこがつながるの?というような驚くような思考回路をもっているが、独特なので周りはそのつながりが見えず、混乱する。
  • とにかく話が飛ぶ。本人に飛んだという自覚が無いので、説明が足りずに理解ができない。

考えるスピードも判断も早いので、斬新な一手を打つことができ、周りから注目されるようなことも多いです。
事業展開に勢いを感じますが、一方で従業員はよく分からないまま振り回されて、疲弊しているということもあり、その後が心配になったりもします。

宇宙人さんは、自分の宇宙人ぶりに気づかずに、周りも自分と同じように考えられると思っている節があります。だから突然1から10に話が飛んだりするのですが、自分の頭の中ではきれいにつながっているので、気にしません。けれど周りはハテナマークだらけ、という状況に陥りがちです。

「顕微鏡と虫めがねを意識! 従業員さんには社長の話が見えていませんよ」
と耳元でささやきたくなるのですが…。

このような場合は、どうしたら良いのでしょう。

その感覚の良さやスピード感が経営においての大きな武器でもあるので、鈍らせたくはありません。そんなあなたを理解し、従業員との間の「通訳」になってくれる人を見つけるのが一番だと思います。

全員が一様に自分を理解してくれなくても、通訳が1人いるだけで社内の「伝わり度」はずっと変わってきます。
せめてその1人にだけでも頻繁に話をし、自分の思考回路の特徴や傾向を理解したうえで意図を汲んでもらえるような、関係づくりに努めましょう。

伝わりやすさのボトムアップには「共感」を

共感

経営者インタビュー的な取材をしていると、事業拡大をしていくための戦略の話はどんどん出てくるけれど、どんな想いで事業をしているのかという話は苦手という社長さんがわりといます。
会社を経営している以上それはある程度仕方のないことで、事業を先細りさせずに、従業員の生活をきちんと成り立たせていく責任感がそうさせるのも分かります。

ただ、そうした責任感を横においても「この人は事業をゲームのように思っているのかな」と感じさせられることがあります。
失礼を承知で言えば、見栄えだけ良い、張りぼてを作って売ろうとしているんだなと感じてしまったこともありますし、一見合理的なその選択をした時の従業員さんの気持ちはどうだったのかなと思ったこともあります。

それぞれのチョイスに理由があるとして、事業の焦点が「利益を上げる」ことばかりに合いすぎてしまっていると心配です。
ゲームのように数字を上げることに挑戦していくのがもともと性に合うという、一部の従業員さんはそれでも良いです。でも所属している会社で従業員がモチベーションを保って仕事を続けていくには「共感」が不可欠だろうと思うのです。

「事業を通して社会にこんな貢献をしたい」
「こんな風に社会を変えたい」
「こんな人たちを幸せにしたい」

そういう想いの部分で従業員が共感できると、仕事に臨む気持ちが変わってきます。
あなたはその部分を、大切にしていますか。またそうした言葉を、従業員に向かって積極的に発していますか。

創業当初はそこを一番大切にしていたという社長さんでも、年数が経つにつれて忘れがちだったり、また分かってもらっているだろうとわざわざ言葉にしなかったり、してしまいがちです。
「共感」がベースにあってこそ、いろんな言葉が伝わりやすくなるということを、頭に置いておきましょう。
「社長はこんな風に社会を変えたいと思っているから、今からこれに取り組むんだな」という納得感が、大切なのです。

従業員さん向けに~何が分からないのか、言語化を~

足りない部分を言語化

おまけとして、従業員の側である方向けにもヒントをひとつ。これができれば、社長さんと意思疎通がしやすくなります。

それは「優秀で物分かりが良いフリをしないこと」

社長と従業員という関係上、できるだけ「デキる人」でいたいですよね。
ですが、社長の言葉をきちんと引き出すには、ざっくりした説明や感覚的な言葉の隙間を埋めていく質問をしていかないといけません。
「説明が稚拙でも理解してあげられるデキる人(のフリ)」ではなく、「足りない部分を的確に言語化して、きちんと詰められるデキる人」になりましょう。

「今のお話は、こういう意味ですか?」と言葉を変換したり足したりして確認をしていくと、社長もあなたにどこまで伝わっているのかが分かります。ライターの取材ではよくやる方法です。バカになることも大切なんです。

そしてちゃんとした経営者である社長さんほど、質問にはきちんと答えてくれます。分からないまま進められれば、綻びが大きくなってしまうので、それを回避する質問ができる従業員こそ大切にしたいでしょうから。
「こんなことも分からないのか!」とすぐ言うような社長さんは二流ですね。

もちろん、従業員であるあなたの側が、分かろうとする努力もしないで「分からない」ばかり言っているなら、そんな言葉を言われても仕方ないですよ。お互いより良く!を目指す気持ち良い会社なら、質問力はきっと重宝されるはずです。

【PR】社内へ「伝わる」言葉づくりの力になります

伝わる言葉

以上、今回は主に社長さん向けに、社内へ「伝わる」ための言葉づくりについて書いてきました。
言葉工房トムでも、いろんな形で力になれると思いますので、良かったらご相談ください。

例えば…


「共感」の部分を強めるために、月に1回「社長メッセージ」を出したい

→ 取材インタビューして文章化できます。


従業員に経営者目線に少しでも近づいてほしい

→ ニュースレターや社内報の制作を通して、成長を促せます。


会社として目指すことや持つべき姿勢が従業員に浸透しない

→ 自分ごととして意識できる企業理念やビジョンを提案します。


などなど。やってみたいことがありましたら、いつでもご相談くださいね。

今回のPOINT

  • 自分が顕微鏡なら、従業員は虫めがねだという意識から始める。
  • 「共感」がベースにあると、言葉が伝わりやすくなる。
  • 従業員側は、分からないことを言語化し、隙間を埋める努力を。

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